2025年7月、漫画業界に大きな波紋を呼んでいた「盗作疑惑問題」に一区切りがつきました。
この騒動の当事者は、人気漫画家の獅子さんと、SNSでも活動していた原川ユキさん。
一連のやりとりと、それぞれの謝罪・声明のポイントをわかりやすくまとめました。
ことの発端:SNSでの盗作指摘

2025年1月と3月、原川ユキさんは自身のX(旧Twitter)アカウントにて、
「漫画『メンタル強め美女白川さん』は、私の過去作品を盗作しているのではないか」
という趣旨の投稿を行いました。
この投稿はSNS上で一部の共感を集めましたが、根拠が不明瞭であったことや、「盗作」と断定するような表現が名誉毀損ではないかと指摘する声も多くあがりました。
▼詳細記事

原川ユキさんが盗作だと主張していたポイント

1. 作品の構成やアイデアの類似性
- 獅子さんの漫画作品(『メンタル強め美女白川さん』)の複数のエピソードや構成が、
原川さんの過去作品(読切や短編)と似ていると主張。 - 特に、7巻のある話について「自分の読切作品と構成や描写が酷似している」と発言。
※ただし、これは「アイデアの類似」であり、著作権侵害に該当するような具体的なセリフや絵のコピーなどの証拠は提示されていません。
2. セリフや展開の一致
- 一部の投稿では、「キャラクターの発言」「話の流れ」「対立→共感→和解といったパターン」などが、原川さんの過去作と一致していると指摘。
- しかし、これらも創作においてよく使われる一般的な構成であることから、著作権的に保護される「表現の独自性」とは言いがたいものです。

3. 投稿の論調:断定的だった
- 原川さんは当初、「似ている」と述べるだけでなく、次のように断定的な表現を用いていました:
- 「私の作品をベースにしている」
- 「剽窃されているのではないか」
- 「今後はもうやめてください」といった批判的かつ強い調子の投稿
→ これにより「獅子さんが盗作した」という印象が広まり、名誉毀損にあたる可能性が指摘されました。
獅子さんのコメント
盗作問題が出てから約半年後の2025年7月19日、騒動の当事者である獅子さんが公式コメントを発表しました。
獅子さんが反応をするのはこれが初めてです。

こちらは弁護士の監修を経て出された文章で、冷静かつ丁寧に状況を整理しています。
内容のポイント:
1. 原川ユキさんからの謝罪を受けたことの報告
- 原川氏から名誉を棄損したことに対する謝罪文が2025年7月19日にX(旧Twitter)に投稿されたことを説明。
2. 本作品の制作経緯と「盗作ではない」ことの明言
- 本作品は獅子さん自身のアイデア、また編集者とのやりとりに基づいて制作されたもの。
- 第三者の著作権を侵害するものではない。
- 原川氏の「盗作疑惑」の主張は事実無根であり、名誉を傷つける投稿だったと明言。
3. 読者・関係者への謝罪と感謝
- 獅子さん本人からの報告が遅れたことについてお詫び。
- 長く支え続けてくれた読者、関係者、応援してくれた皆様への深い感謝の気持ちを述べている。
4. 今後の対応について
- 今後、法的に正当な場を除いて、この件についての言及は控えるという意向を示している。
原川ユキさんの謝罪文
同日、原川さんのXにも謝罪文が掲載されました。

謝罪文の内容ポイント
問題の投稿について
- 令和7年1月20日、SNSで「メンタル猿お婆さん美白川さんJ」が獅子様の過去作品を剽窃しているという旨の投稿を行った。
- 令和7年3月5日にも、同様に「メンタル猿お婆さん美白川さんJ」の漫画の内容が獅子様の過去作品の読者投稿からの流用だと主張する投稿を行った。
著作権侵害の認識について
- 問題にしたのはアイデアの部分であり、著作権法上保護される内容ではなかった。
- 「著作権侵害にはあたらない」という認識のもとで投稿したが、その判断も誤りであったと認めている。
KADOKAWAへの言及
- KADOKAWAの声明に対して「異議はありません」と投稿したが、これが獅子様の人格や適性に疑問を投げかけるものであったとも認めている。
動機と反省
- 投稿の動機は「公益を図るため」と述べていたが、実際には自己中心的な考えに基づくものであった。
- 「自らの作品だけが正当化された」という思い上がりであり、創作界全体への敬意を欠いていた。
謝罪と対応
- 獅子様に対して名誉を著しく傷つけ、多大な迷惑をかけたことを謝罪。
- この謝罪文を1か月間、SNSアカウントの固定ポストとして掲載し続けることを約束。
この騒動が残したもの
| 指摘内容 | 法的評価 | 結果 |
|---|---|---|
| エピソード構成の類似 | アイデアレベル → 著作権の保護対象外 | ✕ 盗作とはいえない |
| セリフや展開のパターン | 一般的構成にすぎない | ✕ 根拠が弱い |
| 断定的な投稿による印象操作 | 名誉毀損の可能性あり | → 謝罪へ発展 |
今回の件は、以下のような問題を浮き彫りにしました。
- アイデアと著作権の違いを知らずに「盗作」と断定する危うさ
- SNSによる告発の影響力と、それに伴う責任の重さ
- 創作物へのリスペクトを失った発言が、どれほどのダメージになるか
また、原川さんが謝罪文で「自分の作品だけが正しいと信じていた」と反省しているように、“自分だけが被害者”という思い込みが、名誉毀損にまで発展する危険性も改めて示されました。
まとめ
このように、原川さんの主張は法律上の「盗作」には当たらず、表現の自由を超えて名誉毀損に該当する形で広まってしまったことが問題となりました。
獅子さんの漫画「メンタル強め美女白川さん」ファンの人は安心したに違いありません。
創作は、ひとつのアイデアやテーマを多くの人が共有することもあります。
でも、それを形にするプロセスや表現には、それぞれの作家の努力と想いがあります。
今回の件が、多くのクリエイターや読者にとって「創作とは何か」「表現とは何か」を考えるきっかけになればと願っています。

