2024年7月公開の映画『先生の白い嘘』において、主演の奈緒さん側から「インティマシーコーディネーターを入れて欲しい」と要求があったにもかかわらず
監督側がそれを拒否していたことが監督のインタビューによって判明し、炎上しました。
またドラマ『不適切にもほどがある』でもインティマシーコーディネーターの表現の仕方に違和感が。
インティマシーコーディネーターとはどういう職業なのか、どうして入れる必要があるのか、その重要な役割について調べてみました!
インティマシーコーディネーターとは
インティマシーコーディネーターは日本では2017年頃から取り入れ始められた比較的新しい職業です。
映画やドラマの肌が見える演出の場面などにおいて、制作現場で監督と俳優の間に立って相互の意見をすり合わせ合意を取り付けます。
例えば監督側が「ここでこうしてほしい」という場面で、事前に『どこまでするのか』『どういった手順でするのか』などを詳しく監督から聞き取ります。
そしてその聞き取りの内容を俳優側に伝え、どこまでならできるか、無理な点はないかなどを聞きます。
それをさらに監督側に伝え、撮影現場でも側で待機することで互いの意見と合意を取り付けて撮影本番で誰も傷付かないように配慮する仕事です。
一言で説明すると、俳優の安全・安心を身体的にも精神的にも守りながら、監督が望む演出を最大限実現するための仕事です。
女優に限らず、すべての俳優が対象となります。
https://gendai.media/articles/-/102735?imp=0
「不適切にもほどがある」でのインティマシーコーディネーターの表現
日本において、インティマシーコーディネーターを導入する映画やドラマは増えてきています。
制作側や俳優側のハラスメントへの意識が高くなってきたことの証拠でもありますが、中には残念な使い方をする人もいるそうです。
インティマシーコーディネーターを使って作品を撮った、とアピールしたいためだけに契約しようとする人もいて、そういう場合はしっかりと説明をして、仕事を断ることもあるそう。
また、2024年2月に放送されたドラマ『不適切にもほどがある』第4話では、インティマシーコーディネーターが登場してその仕事をする場面が放送されましたが、
インティマシーコーディネーターの本来の仕事の姿とは違った描き方がされていたため違和感を感じる人が多かったようです。
インティマシーコーディネーターをクドカンは『不適切にもほどがある』で「ハーフ」の容姿のトリンドル玲奈に演じさせ、巻き舌で喋らせるなどしてあたかも「外国の概念」「現場をややこしくする人」みたいに描いて茶化していたけれど、現実の話として軽んじられ、トレンドに入るのは、むなしいと思う。
— 藤井セイラ (@cobta) July 4, 2024
このドラマで「インティマシーコーディネーター」を初めて知るような人も多いくらい認知されていない職業の見せ方としては「いや、コレで良いの?」「そういうことじゃないんじゃないの?」感は半端ない。
https://mjwr9620.hatenablog.jp/entry/2024/02/17/201025
ドラマのタイトル自体が「不適切にもほどがある」なのであえてそうした演出にしたということも考えられるかもしれませんが、確かにまだ初めてインティマシーコーディネーターを知る人が多いのにこれが本来の姿だと捉えられる危険がありますよね。
真剣に資格をとってインティマシーコーディネーターをされている方や、存在意義を理解して作品を制作している人にとっても悲しいですね。
インティマシーコーディネーターの重要な役割
インティマシーコーディネーターが導入され正しく仕事をされることで、
俳優の心身を守り、監督とよりよい作品づくりに向けて進んでいくことができますし、
「この作品は性的なことで誰も傷つくことなく安心安全に制作されたものです」とお墨付きをつけることができます。
それは見る側にとっても安心ですよね!
奈緒さんの『先生の白い嘘』での監督インタビュー
出典:https://www.mina.ne.jp/culture/27788/
インティマシーコーディネーターがトレンドに入るきっかけになった、奈緒さん主演の『先生の白い嘘』。
奈緒さんからインティマシーコーディネーターの要望があったにもかかわらず入れなかった監督のインタビューが炎上しました。
《すごく考えた末に、入れない方法論を考えました。間に人を入れたくなかったんです。ただ、理解しあってやりたかったので、奈緒さんには、女性として傷つく部分があったら、すぐに言って欲しいとお願いしましたし、描写にも細かく提案させてもらいました。性描写をえぐいものにしたくなかったし、もう少し深い部分が大事だと思っていました》
https://news.yahoo.co.jp/articles/49c3c03d7f3be35de5323b548fe65be212df0bdf
この発言に対しSNSでは猛反発が。
いや、女優側から「インティマシーコーディネーターを入れてほしい」って言われたなら入れろよ。言われなくても入れろよ。なんで断ってんだよ。「すぐに言ってほしい」じゃねえよ監督と出演者という力関係で言えないから間にコーディネーター入れるんだろうがアホか https://t.co/onmeh2kI4C pic.twitter.com/YrbJtnjsN4
— Simon_Sin (@Simon_Sin) July 4, 2024
インティマシーコーディネーターの件。
— しゅがるん🔥🦖 (@sugarun) July 4, 2024
第三者を入れたら、
「えっ、これが嫌?無理? そっかー…話し合おう、このシーンの重要さを理解してくれたら気持ちも変わると思うんだ!」って言いくるめられなくなっちゃうもんね。
女はこういう“言った上で聞いてもらえない”の積み重ねで心が死んでく。 https://t.co/qEWOH6VAdc pic.twitter.com/inrHtH2DBp
被害を描く作品で、俳優が要望したインティマシーコーディネーターを「間に人を入れたくなかった」と拒むなんてあんまりでは
入れてほしいと希望したのに拒否した監督…
もはやその時点でセクハラでは。
インティマシーコーディネーターを入れて欲しいという女優のリクエストを断った監督の作品は、怖くて観れない。
女優さん大丈夫だったのかな
まとめ
インティマシーコーディネーターという仕事の本質や、不適切に使用されている例などをご紹介しました。
インティマシーコーディネーターの仕事はできないことをやらせるよう「説得する」のではなく、監督と俳優から丁寧にヒアリングして誰も傷付かないよりよい作品づくりに貢献すること。
正しい理解が広がって、適切に導入されるようになっていってほしいですね。